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【不定期連載】新説・笠地蔵 -終-

・前回・

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【依然として捜査は難航 不可解な猟奇事件の全容に迫る】



20XX年10月未明、T県早良山奥内の一軒家にて、複数の遺体が遺棄されていた事が明らかとなった。


第一発見者であるP氏の証言によると、趣味である山登りに興じていた際、道中の一軒家から異臭が漂っているのに気が付き、屋内を覗いたことで事態が露呈。


直ちに下山後に最寄りの交番に通報。警察隊が現場に到着し実況見分を行った結果、7名の子供が惨殺されており、いずれもが四肢を鋭利な刃物によって切断され、凄惨を極める有様であったとの事。


『急に生臭い風が漂って来たので、不審に思って見てみたんです。まさしく修羅場でしたね。すぐさま吐いてしまいました』


後にP氏はそのように語る。事件から半年以上経過した今でも、当時の事件現場がトラウマとなっており、一切肉類を食べられなくなったそうだ。


件の被害者である子供らは皆が50以上の肉片に切り刻まれており、遺体検死の結果、いずれもが早良山より最も近い場所にに位置する静間市に住んでいた事が分かった。


人口5万人以下のこの市では、事件当時は移動型サーカスの外来やハロウィンイベントで町は沸いており、子供らが仮装していた点から何らかの理由で事件に巻き込まれたものとされているが、行方不明となる夕方~晩にかけての目撃情報が極端に少なく、具体的な移動経路は不明瞭なままだという。


同時期、静間市郊外にて発生した個人酒造販売店の一家惨殺事件と何らかの関連性があるのではと当初こそ疑われたものの、警察側はあくまで別事件としての想定で捜査方針を変えるつもりは無いと発表。


なぜならば7名の子供らとは別に、軒家の世帯主と思わしき女性が同様に殺害されており、30年前に西日本を震撼させた“連続児童誘拐・惨殺事件”の主犯格である可能性が浮上してきたからだ。


遺留品の中には何百冊ものノートが残されており、攫ってきた児童への虐待から殺害迄の記録が事細かに書かれており、且つ床下からは10以上の白骨体が発見されている。


前述の7名とは異なり遺体の四肢は繋がってはいるが、顔面の損傷が極めて激しく、生きていれば齢70を超えるであろう前嶋土岐子容疑者と識別する見立ては未だ立っていない。


誘拐犯と児童、この二点を加味して考えるならば、前嶋土岐子容疑者(仮)が7名の子供を殺害した後、事が済んだ後に別の人間が彼女を殺害したのだと符合されそうであるが、果たして本当にそうなのであろうか?


警察が関連性を否定した個人酒造販売店の一家惨殺事件においては、金品の類が無くなっていた点から強盗が目的の其れと言われているが、この世帯主は特段金目の物は所有していなかったという。


(殺害時においても粗末な布を縫い合わせたボロ切れを纏っていた点より、かなり切羽詰まった貧窮な逃亡生活を送っていた事が伺える)


個人的な恨みを持つ者によっての怨恨の線が現状で最も現実的な動機とされているが、捜査状況は芳しくなく事件解決の糸口は依然として見えそうにない模様だ。




【了-現END-】